大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

青森地方裁判所 昭和28年(行)6号 判決

原告 今井庸夫

被告 町居村選挙管理委員会

一、主  文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告は、「町居村選挙管理委員会が昭和二十八年二月七日なした白戸英蔵及び白戸すめを町居村農業委員会委員選挙人名簿に登載する旨の決定を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として、

「町居村選挙管理委員会が昭和二十七年十二月一日現在により同村農業委員会委員選挙人名簿を調製しこれを昭和二十八年一月二十日より同年二月三日まで一般の縦覧に供したところ訴外白戸英蔵は同年二月三日右選挙管理委員会に対し右白戸英蔵及びその妻白戸すめが漏れていることを理由として右選挙人名簿につき異議の申立をした。そこで同選挙管理委員会は審査の結果同年二月七日右申立を正当として認容し右両名を右選挙人名簿に登載する旨の決定をなした。しかし白戸英蔵及び白戸すめは昭和二十五年以降町居村に住所を有しない者であるから同人等には町居村農業委員会の委員の選挙権及び被選挙権がないのである。従つて同人等をその選挙人名簿に登載する旨の右決定は違法である。よつて町居村農業委員会委員の選挙権者の一人である原告はその取消の判決を求めるため本訴に及んだのである。」

と陳述した(立証省略)。

被告は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁として、

「原告主張事実中、町居村選挙管理委員会が昭和二十七年十二月一日現在により同村農業委員会委員選挙人名簿を調整しこれを昭和二十八年一月二十日より同年二月三日まで一般の縦覧に供したこと、白戸英蔵から同年二月三日原告主張のような異議の申立があつたこと、同選挙管理委員会が右申立を正当として昭和二十八年二月七日原告主張のような決定をなしたこと、原告が町居村農業委員会委員の選挙人であることはいずれもこれを認めるがその余の事実はすべてこれを否認する。白戸英蔵及びその妻白戸すめの住所はいずれも町居村字山元百四十八番地にあるのであるから町居村選挙管理委員会のなした右決定に違法な点はない。よつて原告の本訴請求は失当であるから棄却せらるべきものである。」

と述べた(立証省略)。

三、理  由

そこで先ず本訴の適否について審按するに、農業委員会法第十一条によると市町村農業委員会委員選挙人名簿の縦覧確定については公職選挙法第二十二条から第二十五条までの規定が準用され、同条項によるとすべて選挙人は市町村農業委員会委員の選挙人名簿に脱漏誤載があると認めるときその縦覧期間内に異議の申立をすることができるのであるが市町村選挙管理委員会の右申立についての決定を不服として出訴しこれを争うことはその申立人又は関係人に限り許されているのであるところ、本件は原告が町居村選挙管理委員会の昭和二十七年十二月一日現在により調製し縦覧に供した町居村農業委員会委員選挙人名簿に白戸英蔵及び白戸すめの両名が漏れていることを理由として右白戸英蔵の申立てた異議に対する町居村選挙管理委員会の決定を不服とし町居村農業委員会の選挙人としてその取消の判決を求めるというのであるから原告は右異議の申立人でもなく又その異議において問題としている事項の関係人でもないのであつて本件に関し出訴できないものであることが明である。

よつて本件訴は却下すべきものとし訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し主文のように判決する。

(裁判官 工藤健作 中田早苗 野原文吉)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!